手しごとで作られた器が届ける、丁寧な暮らし。 -アートスペース油亀-

今回取材にお伺いしたのは、アートスペース油亀さんです。

油亀さんは、陶芸家さんやアーティストが作る器やアートのWeb通販を行う他、「コーヒーのための器展」「豆皿だけのうつわ展」など、“うつわ”の展覧会を年に数回開催しています。

今回は、「カレーのためのうつわ展」にお伺いしました。北海道から沖縄まで、カレー好きの作家さん61人に依頼し、カレーのためのうつわを作ってもらったそうです。作り手の思いを届けるために全国を飛び回る、代表の柏戸さんからお話を伺いました。

 

視点を変えるための展覧会

くろまい
どのような思いで、「“うつわ”の展覧会」を開いていらっしゃるのでしょうか?

柏戸さん:油亀の展覧会に来てくれることで、「え、これって手で作っていたの!?」とか、「これが一つ出来上がるまでにそんなことがあったの!?」とか、今まで全然気にしてもいなかったようなことまで見えるようになってほしいと思っています。

くろまい
それは、どのようにしてお客さんに伝えるのでしょうか?

柏戸さん:お客さんが気に入った器が作られた背景を伝えています。作家さんがどのように土を選び、ろくろを回し、窯に入れているのか。

例えば、北海道の加地さんという作家さんは、業者さんを通さずに自分で土を掘っています。そして、取ってきた土の状態を指で感じながら、機械で動くろくろではなく、太い丸太を蹴ることで動くろくろを使います。ろくろが回りだしたなーと思ったら、土が広がりたいだけ広げていくんです。

くろまい
土が生きてるようですね。

柏戸さん:そうなんです。土と一体化しているように手が動き、3回くらい触って一瞬で出来上がります。神業のようなことをする人です。

表面は滑らかでないですが、使い込むほどに変わる器の表情を楽しめます。僕が1~2年使い込んだこの器が欲しいと言ってくださるお客さんもいらっしゃるんですが、譲れなくなるほどの愛着を感じます。笑

 

器から見る「手しごとのあと」には、ワクワクがはみ出ている

 

くろまい
お客さんに伝える作家さんのこだわりや思いは、どのように聞いておられるのですか?

柏戸さん:その人が何を大事にされているのかを器からすごく感じ取って質問します。作家さんが作る器には、手しごとのあとが残っています。

例えば、仕上げを綺麗にしようと思えば、どこまでもろくろ回しで綺麗にできるんですが、あえてろくろ目を残したりしているところに、その作家さんのこだわりを見つけます。

手しごとのあとを見つけて話しかけると、やっぱりそこがカギで、作家さんが心をこちらに開いてくれるんです。

柏戸さん:手しごとのあとがなく、教科書のお手本のような作品よりも、ワクワクがはみ出ているような面白い作品が好きです。

お客さんが、ワクワクがはみ出た器を自分自身で選んでほしいです。そして、「油亀に来たから、ちょっと生活変わったな」と思ってもらえたら嬉しいなと思います。

 

「ゆとりを持つこと」と「面白みが生まれること」の関係

 

くろまい
そのように器を選んで、丁寧に暮らしをすることは、意外と難しいと思うのですが、そういう人たちはどうしたらいいんでしょうか?

柏戸さん:毎日じゃなくても、コーヒー一杯を飲むときに、自分がこれで飲みたいと思うコップを選べる。そんなゆとりを見つけられたら、豊かだなと思います。

柏戸さん:ゆとりを持つ人が増えたら、おもしろい未来になると思います。手しごとで作ったものがどんどん抵抗なく生活の中に入ってくるということは、自分が知らない作り手のことを受け入れることができているということです。そんな世の中になれば、もっと面白いと思います。

 

 

自分のお気に入りの器を持ち、器の背景に思いを馳せながら大事に使う。

 

質のよい時間を過ごす、ということは一見簡単なことのように思えますが、日々の忙しさに追われていると意外と難しいです。でも、毎日でなくてもいいから、「あ、いま余裕ないな」と気づいたときに使う、自分を整えるための器を持っているということは、とても心強いことだと思います。

“思い立ったが吉日”ということで、私もカレー皿とスプーンを早速購入しました。

お気に入りの器とともに過ごすひととき。QOLが一気に上がったような気がします。

 

アートスペース油亀で、あなたも「ワクワク」を手に取ってみませんか?

 

【アートスペース油亀さんデータ】

住所:岡山県岡山市北区出石町2丁目3-1

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くろまい

くろまい

素敵な人たちとのワクワクする出会いを求め、この身一つでどこでも行くことが大好きです。 岡山で根を張り、凛として生きる人の魅力をお伝えします。 ブログ : http://blog.goo.ne.jp/mk-kyoka Webマガジン : http://entous.org/